Amazon Kindleでの自費出版は、近年非常に多くの著者が利用する方法となっており、手軽に世界中の読者に自分の作品を届けることができる点が魅力です。しかし、実際にKindleで出版するとどれくらい儲かるのでしょうか。
儲かるとしたらどれくらい儲かるのか、本記事ではその仕組みや儲けの実情について詳しく見ていきましょう。
Kindle出版の仕組みややり方を調べてみた
Amazon Kindleでの出版は「Kindle Direct Publishing (KDP)」というプラットフォームを通じて行われます。著者は自身で書籍データを作成し、KDPにアップロードすることで、電子書籍として出版が可能となります。出版費用はかからず、販売価格は著者自身が設定できます。
KDPの大きな特徴の1つとして、ロイヤリティの設定という概念があり、著者は2つのロイヤリティオプションから選択することができます。
70%ロイヤリティ
書籍価格を250円~1,250円に設定し、Amazonの条件を満たすと適用されます。この場合、販売価格の70%が著者の収入となります。
35%ロイヤリティ
書籍価格が1,250円を超える場合や、70%ロイヤリティの条件を満たさない場合に適用されます。販売価格の35%が著者の収入になります。
ロイヤリティは販売価格に基づき計算され、それに加えて書籍のサイズに応じたデジタル配送費が差し引かれます(1MBあたり約1円)。このため、書籍のデータ量が大きい場合は収益が少し減ってしまうことを知っておきましょう。
Kindle出版で儲けを出すためのポイント
Kindle出版で実際に収益を上げるためには、いくつかのポイントがあります。
質の高いコンテンツを作る
最も基本的な部分ですが、読者にとって魅力的な内容を提供することが売上を上げるために不可欠です。日々たくさんの出版が行われているため、興味を惹く内容になっていなければなかなか売れません。専門知識が必要なニッチなジャンルや、読者の悩みを解決する内容が特に好まれれる傾向にあるため、そのような内容の作品が作れないか検討してみましょう。
価格設定の戦略
初心者の場合、250円程度の手軽な価格でスタートすることがおすすめです。多くの読者に購入されることで評価やレビューが増え、それらがきっかけでさらに売上の増加が期待できるためです。もちろん専門性の高い内容であれば高価格で販売することもできますが、そうでない場合は、販売数を重視した方がトータルの売上を伸ばすことができます。
プロモーション活動を行う
自費出版の場合、Amazon内での露出だけでは限界があるため、SNSやブログ、広告などを活用して宣伝することが重要です。プロモーション活動に力を入れることで、読者層を広げることができます。また、定期的に新しい書籍を出版し、読者の興味を引き続けることも収益を維持するポイントです。
上記3つのポイントを抑えながら出版活動を行うようにしましょう。
Kindle出版は儲からない?儲けの実情を調べてみた
実際のところ、Kindle出版で大きな儲けを得ることは簡単ではありません。多くの著者が書籍を出版しているため、競争が激しく、成功するためには先述したようにマーケティングやコンテンツの質が重要です。一部のベストセラー作家は、Kindle出版で数百万の売上を達成しているようですが、それはほんの一握りで、多くの著者にとっては月に数千円から数万円の収益を得ることが相場となっているようです。安定した収入を得るためには、複数の書籍を出版し、継続的にプロモーションを行うことが求められます。
ここからは、実際にKDPで稼いでいる人はどれくらいいるのか、国内、海外共に調べられる範囲で調べてみました。
作家A
とある作家さんはKDPを使い、10冊の書籍を出版しました。売上自体は大きくありませんが、毎日約300円の収益を得ており、月にすると約1万円ほどの利益になっているようです。著者自身は、「数の力を感じた」と述べており、多くの書籍を出版することで、安定した収益を得ることができると実感していると言います。一冊で爆発的なヒットがなくても、小さなヒットがたくさん積み重なれば、それなりの収益は期待できそうです。
作家B
出版後すぐにランキングで上位に入るという成功を収めた例もあります。この作家さんは、日々デザインやライティングのスキルを向上させ、定期的に出版活動を行うことで収益を増やしているようです。また、Kindle作家同士のつながりも大きなモチベーションとなっていると述べています。切磋琢磨できる仲間の存在も、成功を収めるためには必要なのかもしれません。
これらの例からもわかるように、日本でもKDPである程度の成功を収めることは可能ですが、しっかりとしたマーケティングや継続的な出版活動、自己研鑽が重要になると言えそうです。
海外の事例も調査してみました。
マーク・ドーソン
マーク・ドーソンというイギリスの著者は、KDPを通じてスリラーシリーズを30万冊以上販売し、年間45万ドル以上(2015年)を稼いだとのことです。彼の成功の鍵は、最初に一部の本を無料で提供して話題を集め、Facebook広告を駆使して読者を増やし、読者とのつながりを強化するためにメーリングリストを活用するという緻密な戦略にあると言えるでしょう。
LJロス
同じくイギリスの著者であるLJロスは、KDPを使って犯罪スリラー小説を自費出版し、全世界で700万冊以上を売り上げています。彼女は、自分で出版することでクリエイティブ性を保ちつつ、従来の出版方法を通じて得られなかった成功を収めています。
これらの著者たちは、質の高いコンテンツを提供するだけでなく、プロモーションや広告、読者との関係構築に力を入れ、成功させています。成功には戦略と努力が必要ですが、適切なアプローチを取ることで大きな利益を得ることが可能な点が証明されたケースと言えるでしょう。
Kindle出版のメリットとデメリットを改めて解説
Kindle出版のメリットとデメリットを以下にまとめました。
●メリット
- 初期費用がかからないため、リスクが低い
- 世界中の読者にアクセスできる
- 著者が自由に価格設定でき、利益を最大化できる
- 出版までのプロセスが迅速で、簡単に更新可能
●デメリット
- 競争が激しく、成功にはプロモーションが必要
- 電子書籍に抵抗がある読者層には届きにくい
- 70%ロイヤリティを得るには一定の条件を満たす必要がある
- 売上が安定するまでに時間がかかる可能性がある
簡単に出版できる分、ライバルが多いので、出版しても全く売れない、全然儲からないという声も少なからずあります。既にファンがたくさんいたり、十分な広告費が投下できる等であれば成功確率が上がると言えそうですが、そうでない場合は失敗に終わってしまうケースも多いと言えるでしょう。
それであれば、出版社の自費出版を検討してみても良いでしょう。出版社の自費出版は、それなりに費用がかかりますが、プロが1からサポートしてくれるため、満足のいく出版になる可能性が高くなります。KDPに強いこだわりがない場合は、一度自費出版社に相談してみるのも良いかもしれません。
まとめ
Kindleでの自費出版は、手軽に始められる出版手段ですが、成功するためには高品質なコンテンツ、適切な価格設定、そして効果的なプロモーション活動が重要です。儲けを得るためには、長期的な視点を持ち、複数の書籍を継続的に出版し、読者との関係を築くことが成功のカギと言えるでしょう。
また初期費用がかからないため、リスクは低いものの、競争が激しい市場であるため、戦略的なアプローチが必要です。Kindle出版で成功を目指すためには、試行錯誤と努力が必要ですが、その先には大きな収益が得られるチャンスがあることも事実です。自分の作品を出版してみたいと考えている方は、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。