小説を書きたいと思ったときに、どうやって始めてよいのか困っていませんか?応募の際の原稿の書き方をイメージできるだけで、創作意欲を削がれることなく執筆できます。
ここでは、これから小説を書く人が知っておきたい「基本的な原稿の書き方」「原稿執筆時の初歩的なルール」などを紹介していきます。
原稿用紙の使い方
応募規定によりますが、原稿を書くときには基本的にワードで執筆します。つまり手書き原稿ではなく、ワープロ原稿となります。ワープロ原稿とは、パソコンで文字入力して紙に印刷したものです。
手書き可の場合もありますが、ボールペンや万年筆などの消えない筆記用具で書かなければなりません。原稿は正式書類と同じであり、著作権を守るためにも故意に変更できないようにする必要があります。また、もし手書きで間違えた場合は修正テープで書き直さなければいけなくなり、見栄えが悪くなります。人によって文字の癖があることから、タイピングによる原稿作成が望ましいでしょう。
以下では、ワードによる原稿の書き方をみていきます。
書き方の基本
原稿は本ではありませんので、簡略化した書き方をしましょう。次章のタイトルの書き方でいえば、前章の最終行から3~4行空けて次章のタイトルを書きます。タイトルの後には数行空けて、本文を書き始めます。
書き始めについて
原稿の書き出しに作品のタイトルと自分の名前を入れるのかどうか、応募規定で確認しましょう。投稿先によっては、突然本文を書き始めても問題ありません。
原稿の仕上げ方
横書きで執筆して、完成したらレイアウトの文字列を「縦書き」に変更しましょう。そうすれば、応募規定に沿った原稿用紙に仕上がります。
印刷では、A4判の白いコピー用紙を使用します。なお、原稿用紙に直接印刷しないようにしてください。
字数/行数/書体/余白/ページ番号のルール
応募規定にあるルールに基づいて、ワードによるページ設定も心がけましょう。基本的には30字×40行であり、1,200字を原稿用紙1枚とします。30字×40行とは、原稿用紙1行あたり30文字入り、40行までが原稿用紙1枚分という意味です。
応募要項の字数と行数
20字×20行(1枚400字)
30字×20行(1枚600字)
20字×40行(1枚800字)
30字×40行(1枚1,200字)
40字×30行(1枚1,200字)
40字×40行(1枚1,600字)
ほかにも、ワードのページ設定にはいくつか共通のルールがあります。書体は明朝体で10ポイント以上、余白は上下左右20mm以上です。あまりに小さくて余白がないと、読みづらくて悪い印象を与えてしまいます。ちなみにバランスの良いレイアウトとは、右側の余白が左側よりも多く、上側の余白が下側よりも多いものとされています。行間も2mm以上あるほうが理想であるため、できればきちんと設定しましょう。ページ番号の文字サイズを10ポイントにしておくことも、大切な心配りといえます。
小説公募におけるジャンル
原稿の書き方のイメージができたら、ぜひ応募先のジャンルまで考えておきましょう。大まかなジャンルとして、純文学・大衆文学・ライト文芸・ライトノベルの4つがあります。
純文学
独特の文体が特徴であり、心理描写に関心がある人が好むジャンルです。純粋な芸術性を目的として、絵画的なイラストが表紙を飾ることが多いとされています。
以下は、純文学の小説を応募できる有名な賞です。
- 文學界新人賞
- 新潮新人賞
- 群像新人文学賞
- すばる文学賞
- 文藝賞
純文学の作家といえば、遠藤周作や小川洋子、村上春樹、綿矢りささんたちが挙げられます。文庫本ならば、岩波文庫や新潮文庫、ちくま文庫、中公文庫などです。
大衆文学
ストーリーに重きを置いているのが、大衆文学といえます。物語のワンシーンを思い出させるイラストが表紙になるのも特徴です。
大衆文学の有名な応募先は、次のとおりです。
- 小説すばる文学賞
- 松本清張賞
- メフィスト賞
- オール讀物新人賞
- ポプラ社小説新人賞
大衆文学の作家は、伊坂幸太郎や恩田陸、宮部みゆき、三浦しをんさんらが有名です。文庫本では、角川文庫や講談社文庫、集英社文庫などが挙げられます。
ライト文芸
いわゆる、大人向けライトノベルです。アニメのような可愛らしい表紙とは裏腹に、大人が引き込まれるストーリーが広がるジャンルといえます。
ライト文芸の小説を応募するならば、こちらがおすすめです。
- 角川文庫キャラクター小説大賞
- 電撃大賞
- ノベル大賞
作家でいえば、有川浩や入間人間、時雨沢恵一、村山早紀さんらが挙げられます。文庫本は、集英社オレンジ文庫や新潮文庫nex、メディアワークス文庫が有名です。
ライトノベル
アニメ風の表紙が特徴である、10代向けの小説です。軽い文体でわかりやすく書かれたもので、中高生や若年層の人気を集めています。
ライトノベルの原稿を送る場合の、有名な応募先はこちらです。
- スニーカー大賞
- 電撃大賞
- ファンタジア大賞
作家は鎌池和馬、桜庭一樹、谷川流、伏見つかささんらが有名です。文庫本でいえば、角川スニーカー文庫やコバルト文庫、電撃文庫、ファンタジア文庫などが挙げられます。
出版社が募集している公募新人賞には、いくつかジャンルがあります。書き方のルールに加えて書きたい方向性が決まれば、案外スムーズに応募することができます。自分がやりたいジャンルを見つけて、ぜひ挑戦してみましょう!