デジタル社会になった現在でも、プロの作家や小説家の中には原稿を手書きで書くことにこだわっている人がいます。それに憧れて「自分もプロになったら手書きで原稿を書きたい」と思っている人も多いでしょう。
では、出版社やコンテストに応募するときはどうでしょうか。応募の際の手書き原稿の可否について、詳しくご紹介します。
原稿は手書きとパソコンどちらで書くべきか?
学生の時分に就活で、「手書きで書いた方が熱意が伝わるから、履歴書は必ず手書きで」と教えられた方もいるかと思いますが、小説の公募では手書きかパソコンかは選考基準には入りません。「どちらで書くべきか」という問いに答えるならば、「手書きを受け付けている賞ではどちらでも良い」ということになります。
ただし、「書くべき」とまでは言い切れませんが、出版社やコンテストへ小説を応募する際、原稿はパソコンで書く方がいいでしょう。その理由を、作者、選考者、入賞後の編集担当者の観点から以下で説明します。
作者:原稿の訂正がしやすい
原稿をパソコンで書くことで、内容の変更や訂正が楽になります。手書き原稿では、後から読み直してみて訂正したいと思っても、すぐにというわけにはいきません。一字間違えただけでも丸一枚書き直しということになるので膨大な時間がかかってしまいます。原稿を書き直すよりも、推敲を重ねて作品の質を上げるのに時間を使う方が賢明ではないでしょうか。
選考者:原稿が読みやすい
選考者は、短期間のうちに多くの作品を読まなくてはいけませんので、読みやすい原稿であることは非常に重要な要素です。読みづらいと、先を読み進めるモチベーションが下がり、しっかりと最後まで読んでもらえない可能性もゼロではないからです。
少量の原稿であればまだいいかもしれませんが、量が多いと字が乱雑になったり誤字につながったりします。きれいな字が書けるといってもパソコンの文字の方が読みやすいのは明白です。
編集担当者:手間が少ない
入賞して小説を刊行することになると、再度原稿がチェックされ修正が入る場合もあります。手書き原稿ではチェックや修正がわかりにくくなり、刊行用に一から原稿を打ち直さなくてはいけません。また、原稿のやり取りは基本的にメールかFAXで行われるため、手書きの原稿では利便性が低いという面もあります。
公募の募集要項を確認
上記の項目で応募原稿はパソコンで書く方がいいとお伝えしましたが、何らかの事情があったり、どうしても手書き原稿にこだわりたいという方もいるかと思います。
公募の募集要項には必ず手書き原稿の受付に関しての記載があり、「手書き原稿不可」と書かれていなければ基本的に応募可能です。なお、「可」、「不可」とは明確に書かれていなくても、受付可能であれば原稿枚数の指定の欄に「ワープロの場合は~、手書きの場合は~」のように記載されています。募集要項は隅々まで熟読し、手書き原稿を受け付けてもらえるか確認しましょう。
原稿を手書きでする際は鉛筆でも良いのか?
原稿を手書きする際は、鉛筆ではなくボールペンや万年筆を使いましょう。鉛筆だと、原稿がこすれて文字が読みにくくなったり、うまくコピーできなかったりする場合があります。すぐに消せて修正も楽ではあるのですが、誰でも容易に内容が変更できてしまうということでもあります。
下書きに鉛筆を使うのは自由ですが、応募する原稿には鉛筆やシャープペンシルは避けましょう。同じ理由で、フリクション等の消せるボールペンも適しません。
小説を応募する際の、手書き原稿の可否についてご紹介しました。
多くの賞では、手書き原稿でも応募可能としていることが多いですが、お伝えしたとおり、パソコンで書いた方が利便性が良く、読みやすい原稿になるので、パソコンで書くことをおすすめします。
どうしても手書きしたい場合は募集要項を熟読して、受け付けられているか確認し、消えない筆記具で丁寧に書くよう心がけましょう。