「小説を複数の賞に応募したい」と考える人は少なくありません。狙っている賞の数だけ小説を執筆するのには時間も労力もかかります。また、応募したからといって必ずしも受賞するわけではないので、複数の賞に一つの小説を応募して、効率よく受賞の可能性を上げたいと考える人も多いでしょう。
しかし、一つの小説を複数の賞に応募するにあたって、いくつか注意点があります。本気で小説家を目指したいのであれば、しっかりと把握しておくべき内容なので、ぜひ確認しておきましょう。
小説を複数の賞に応募する際の注意点
小説を複数の賞に応募するにあたって、いくつか注意点が存在します。思わぬトラブルやチャンスを台無しにしてしまう…という可能性があるのできちんと把握しておきましょう。
「未投稿作品のみ」の規定の場合はトラブルになることも
まず、最も注意しなければならないのが「未投稿作品のみ」という規定のある賞への応募です。例えば、「未投稿作品のみ」の賞2つに応募し、どちらも受賞してしまった場合、どちらも受賞したことを白紙にされてしまうことがあります。「未投稿作品のみ」に関わらず、別の賞にも同時期に応募していたとなると、二重投稿といって、これは明確なルール違反となるので、事前の確認と注意が必要です。
また、別の賞への応募がバレずに、雑誌への連載や出版が決定した場合であっても、後から「実は未投稿作品ではなかった」ということが判明すれば、大きなトラブルになってしまうことがあります。最悪の場合、金銭の問題が発生することもあるため、募集内容は見逃さないよう徹底して確認することが大切です。
毎年同じ賞に応募し続けると「成長がない」と判断される可能性がある
「未投稿作品のみ」という規定がない場合は、同じ作品を何度も投稿することができます。しかし、審査員や編集者は毎年大量に送られてくる小説の作品を意外にも覚えていることがほとんどです。そのため、毎年同じ賞に同じ作品を応募し続けていると「またこの作品か…」「成長していないな」と思われてしまいます。
実際、新しい作品を応募していないわけですから、そう思われてしまっても仕方がありません。ルールを守って応募していたとしても、受賞する可能性はどんどん低くなってしまうでしょう。本気で受賞を目指すのであれば、同じ賞に応募する際には毎年新しい作品を作成することをおすすめします。
編集者からのイメージが良くない
複数の賞への作品の応募は、判明すると基本的に編集者からのイメージは良くありません。「この作品は別の賞にも応募していたな」「やる気のない作家なのかな」「数打てばあたるというつもりなのかな」など、マイナスなイメージとして認識されてしまいます。必ずしも別の賞への応募が編集者や審査員にわかるというわけではありませんが、さまざまな情報網を持つ出版社や会社であれば、応募状況について把握することは難しくありません。
もし、どうしても複数の賞に一つの作品を応募したいという場合には、こうした編集者からのイメージについてよく理解して、検討しましょう。
一つの作品を複数の賞に応募する「二重投稿」は、基本的に禁止となっています。ただし、以前に他の賞に応募した作品が落選したのを確認した後であれば、同じ作品を別の賞に応募することも可能です。しかし、編集者や審査員によっては、そうした複数の賞への応募を快く思わないことがあるのも事実です。もしかしたら、せっかくのチャンスが消えてしまうという可能性もあるため、複数の賞への応募はしっかりと考えて行うことが大切です。