書店の案内板などでよく目にする「新書」という文字。見慣れている方は多いと思いますが、具体的に新書とはどのようなものかご存知でしょうか。
ここでは新書の定義や文庫との違い、内容の差などについてご紹介していきます。
新書とは、173mm×106mmの教養本
まず、新書とはどのような本なのでしょうか。
大辞林 第三版によると、
① [0][1] 新しく出版された本。新刊書。
② [0] 書物の形式の一。文庫より少し大きめの型で、軽い教養ものや小説などをおさめた叢書。
とあります。
(「コトバンク」三省堂 大辞林 第三版より引用 https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E6%9B%B8-81948#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88)
また、世界大百科事典 第2版によると、
出版形式の一つで,B6判よりやや小型の判型(新書判)のシリーズをいう。新書判の寸法はJIS規格(日本工業規格)外なので一定しないが,173mm×106mmが標準である。新書という名称は,イギリスのペリカン・ブックス(ペンギン・ブックス)に範をとり,1938年に岩波書店が創刊した〈岩波新書〉に由来する。(後略)
とあります。
(「コトバンク」世界大百科事典 第2版より引用 https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E6%9B%B8-81948#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88)
よく、「新書」と「新刊」を混同してしまうことがありますが、「新書」は小型の本のこと、「新刊」は新しく刊行された本のことです。まとめると、新書とは「B6判よりやや小型、文庫より少し大型で、軽い教養ものや小説などをおさめた本」ということがわかります。
文庫とは、148mm×105mmの廉価版単行本
では、文庫とはどのような本でしょうか。
大辞林 第三版によると、
① [0][1] 書物を収めておく倉庫。書庫。
② [0][1] 本や帳簿、手回りの品などを入れておく手箱。
③ [0] 同一出版社から続いて刊行される、同一の型・装丁の叢書。特に、廉価で普及を目的とした小型本。文庫本。 「レクラム-」
④ [0][1] 作者・学校・地域など、ある枠の中でまとめた蔵書。 「学級-」 「豊町-」
⑤ 「文庫結び」の略。
⑥ 書名(別項参照)。
とあります。
(「コトバンク」三省堂 大辞林 第三版より引用 https://kotobank.jp/word/%E6%96%87%E5%BA%AB-128427#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88)
ここで扱う文庫は③のことを指します。また、大きさはA6サイズで、148mm×105mmです。よって、文庫とは「単行本の内容を普及するために出版される、廉価・小型の本」といえます。
新書と文庫の違いは?
新書と文庫の違いは、まずその大きさです。新書に対し文庫は縦が短めです。また、歴史にも違いがあります。
文庫は1903年に冨山房がドイツのレクラム文庫をまねて「袖珍名著文庫」を出版したのが始まりです。その頃から、小型で安い普及本を「文庫本」または「文庫」と呼ぶようになりました。
また、新書は岩波書店が創刊したもので、判型・内容ともに岩波文庫とは違うものとして作られました。古典を収録する岩波文庫に対し、岩波新書は書き下ろしを原則とし、「現代人の世界的教養」を目的として創刊され、現在の新書の源流となったのです。
新書と文庫の内容に違いはある?
新書の内容は、学問の解説や入門的な内容であることが多く、少し専門的です。それに対し文庫は、小説やノンフィクションなど、あらゆるジャンルの古典・人気書の内容をそのまま小型にしたものです。
文庫はよく売れた単行本の内容に前書き・後書き・修正等を加えて発売するため、基本的に既に発売されている単行本と内容は大きく変わりません。
新書と文庫、大きさは似ていますが、その内容には大きな違いがあるので、本を選ぶときの一つの指標になります。
新書と文庫の違い、おわかりいただけましたでしょうか。違いがわかると、本を選ぶときもスムーズに選びやすくなります。学問的な内容を読みたい方は新書を、それ以外の古典や人気の小説などを読みたい方は文庫を選ぶと、よりよい読書生活が送れるかもしれません。