何度か「小説新人賞」に応募しているけれど、一次選考にすら通らないという方もいると思います。弱点を見直すことで「読ませる小説」に変させることができます。ここでは一次選考に通らない原因を考え、その対策も合わせて提示していきます。
小説新人賞の一次選考に通らない原因にはどんなことが考えられる?
小説新人賞の選考経過をチェックしている方の中には「今回もダメだった」というように落胆されている方もいらっしゃることでしょう。では、一次選考に通らない原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
応募規定に沿っていない
原稿用紙の枚数に満たない、あるいは枚数を越えている、web応募の場合には指定された書式ではないというようなことが考えられます。また、それぞれの小説新人賞が定めた応募規定に沿わない内容での応募は、それがわかった時点で審査終了です。
小説を書き始める前に必ず応募規定・募集要項を確認すること、書き終えてからも規定に沿っているかを確認しましょう。
カテゴリーエラー
文学的要素を求める小説新人賞に、ファンタジーや趣味嗜好度(フェチズム)が高い小説などカテゴリーが異なる小説を応募することもナンセンスです。小説新人賞の概要やコンセプトを必ず確認すること、過去の受賞作品を熟読し「どういったカテゴリーが受け入れられるのか」を模索していきましょう。
自分自身の作風と小説新人賞のコンセプトが合致するかどうかがカギとなります。
キャラクター設定ができていない
「寡黙」という設定なのに、饒舌なセリフばかりが続く、文章からヒロインのかわいらしさが伝わらない、読み進めていくうちに登場人物が混乱してくるというように、一次選考を通過できない小説はキャラクター設定ができていないという傾向があります。
「主人公は人間である意味がない(動物や物に代えても物語は成立する)」「エピソードに盛り込まれていないから、性格設定が活かされてこない」というのであれば、物語は破たんしているかもしれません。読み手が面白い・興味が湧くというようなキャラクター作りが大切です。
人称と視点がずれている
多くの審査員が指摘する事項として「一人称と三人称」など基本となる物語の視点の不統一が挙げられます。登場人物の視点で物語が進んでいくのか、書き手の視点で物語を進めていくのか(いわゆる神の視点)によって話の展開も変わっていくでしょう。まず、構成を練りあげるときに「どのような視点で書き進めていくか」を決めましょう。
また、視点を終始一貫しなければ読み手が混乱します。小説の構成によって「私の視点・オレの視点」を変える手法もあります。そういったときは空白を開けるなど「場面が変わる」ことが読み手に伝わるようにする配慮も必要です。
選考通過を意識した対策を練ろう
厳しい話ですが、単純に「私が書いた小説を読んでほしい」というのであれば、自らのブログに掲載すればよいのです。「新人賞」や「商業作品としての小説」を意識できる作品をつくることが大切です。では、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
感性を磨こう
「既視感を覚える作品」など、時折審査員が総評を上げることがあります。特に、「恋愛ジャンル」や「その土地を舞台とする」といった題材に縛りがある場合に多く見られます。恋愛などは、自分自身の経験を反映させようと思えば思うほど既視感につながります。
また、「うそ・噓・ウソ」と表記を変えただけでも読み手が受ける印象が異なります。ボキャブラリーを増やすことはもちろんのこと、言葉だけで読み手に感情や五感・情景を伝えられるように感性を磨くことも大切です。
客観的な推敲を重ねよう
小説を書きあげたことに満足してしまう方も多く、こういった作品のほとんどが選外となってしまいます。独りよがりの小説になってしまい、読み手にとって意図が伝わらない物語になりやすい傾向があります。
書きあげた後は客観的な視点を持ち、何度も読み返してストーリーのねじれ、その他文法や文脈の間違いがないか確認していきましょう。
書評は必ず目を通そう
全ての小説新人賞に当てはまるものではありませんが、応募作品に対して審査員が書評をつけて返送してくれることがあります。審査員が作品を丁寧に読んでくれたということですので、書評は必ず目を通し、良かったところと今後直すべきところを洗いだしていきましょう。きっと気付きがあります。
小説新人賞の一次選考を通過するためには、どのようなことに気をつけたらよいのかをまとめました。何作も小説を書きあげて経験値を上げることも大切です。処女作で受賞はごくまれなことですので、たくさん物語をつくり上げていきましょう。