芥川賞の選考は年に2回行われています。また芥川賞にはさまざまな取り決めがあり、その取り決めの一つに、一度受賞した作家はもう一度芥川賞を受賞することはできないというものがあります。詳しく見ていきましょう。
芥川賞は年に何回発表されるのか
芥川賞は、年に2回、1月と7月に発表されます。なぜ年に2回も発表されるのかというと、芥川賞創設の目的の一つに、「本の売上向上を図るため」というものがあるからです。
一般的に、2月と8月は「ニッパチ」と呼ばれ、消費が落ち込む月といわれています。なぜ、2月と8月の消費が低迷するのか、その理由については諸説ありますが、2月は寒さで、8月は暑さで、人が家に籠りがちであることが一つの要因としてあげられいます。芥川賞が開催された昭和10年の頃は、書店に足を運ばなくては本を買うことができませんでした。そのため、気候が売上に影響していたのかもしれません。
芥川賞を受賞した作品は、芥川賞が発表された翌月の「文藝春秋」の、2月号と8月号に掲載されます。話題性のある文学賞を作り、その受賞作を雑誌に掲載することで、2月・8月という売上が低迷する月を乗り切ろうとしたために、年に2回、芥川賞は発表されているというわけです。
芥川賞の選考会はいつ?
では、芥川賞の選考会はいつ行われるのでしょうか。
まず、1月に発表される分は、6月~11月に発表された作品の中から候補作を選び、それらの候補作品を12月に発表し、1月中旬に選考会を行います。7月発表分は、前年12月~5月に発表された作品の中から候補作を選び、7月中旬に、選考会を行います。
そして、1月発表分は2月に、7月発表分は8月に、賞の贈呈式を行うのです。
一度受賞した人は何回も受賞できるの?
芥川賞は一人の作家が何回も受賞できるものではありません。芥川賞は新人賞であるため、一度受賞した作家は、候補にあがることすらないのです。実際、2018年現在、芥川賞は158回開催されていますが、同じ作家が2回芥川賞を受賞したことはありません。
また、芥川賞と直木賞のどちらかを受賞した作家は、片方の賞の候補から外されることに決まっているため、芥川賞と直木賞の二冠を達成した作家も存在していないのです。
候補には何回もあがることがある?
芥川賞は一度受賞すると、もう一度授与されることはありえない文学賞です。しかし、芥川賞の候補には何回もあがることができます。実際、第92回の芥川賞を受賞した木崎さと子氏は、6回候補にあがってようやく受賞が叶いました。
毎年、芥川賞の候補作品は10作品ほどが選ばれますが、その中から芥川賞を受賞できるのは1作、まれに2作の作品だけです。候補にあがっても受賞できる確率は大変低いのです。そのため、何回も候補にあがり数度の落選を経て、ようやく受賞に至るということも決して珍しくないのです。
実際、候補にあがって、落選を経ることなく芥川賞を受賞することになった作家は、受賞者の半分程度にしかならないのです。芥川賞を受賞した作家の半分は、少なくとも1回、多い人は5回、芥川賞の候補にあがりながらも落選した経験を有しているわけです。
また、数回芥川賞の候補にあがりながらも、受賞には至らなかった作家もいます。たとえば、芥川賞の選考委員も勤めた作家の島田雅彦氏は、芥川賞の候補に6回あがっていながら、受賞には至りませんでした。また、ノーベル賞候補にたびたび選ばれている村上春樹氏も2回候補にあがっていますが、芥川賞を受賞することはありませんでした。
このように芥川賞の候補には何回もあがることが一般的なようです。
以上のように、芥川賞は年に2回、1月と7月に発表されますが、新人賞である芥川賞を2度受賞することは不可能です。しかし、受賞するまでは何回も候補に選ばれることが可能です。さらに、何回も候補にあがってようやく悲願の受賞を果たすということは珍しいことでもないようです。