現代では数多くの小説が誕生しています。その中には目新しいストーリーもあり、文章構成の在り方で迷ってしまう作家もいるのが現状です。
こちらでは文章構成の一つである「起承転結の書き方」をお伝えしながら、読みたくなる小説のポイントについてみていきしょう。
起承転結の書き方
まず知っておきたいのが、起承転結の書き方のイメージです。以下ではそれぞれの概要をご説明します。
起承転結の「起」
「起」は、小説の導入部分です。物語の設定、つまり世界観や場所、登場人物、目的などをわかりやすく読者に伝えます。最初に結末を想定してから起を考えれば、読者が感情移入しやすい作品となります。
起承転結の「承」
物語の展開部分である、「承」。ジェットコースターのような緩急をつけることで、小説にぐっと引き寄せられます。伏線のための何気ない会話から、登場人物の葛藤や対立、主人公の意思などを描いて、メリハリをつけましょう。
起承転結の「転」
「転」とは転化を指しており、展開を転ばせることです。読者に「えっ?」「あれっ?」と意外性を持たせて、最後まで読みたくなるシーンを盛り込みます。露骨に驚かせるのではなく、起承の部分を上手に活かして飽きさせない工夫が必要です。
起承転結の「結」
「結」のイメージは結末であり、物語のテーマを提示する役目もあります。あなたの小説から何を伝えたいのかを結に書いていく、もしくは読者に疑問を投げかけます。
ただし、あまりに曖昧な書き方をすると「結局何がいいたいの?」となってしまうので注意してください。結をできるだけシンプルに締められると、読みやすい小説となります。
読みたくなる小説のポイント
起承転結で特に重要なのは、「転」です。とはいえ、読者を驚かせるために無理してテーマを設定してしまうと、小説の冒頭から違和感を覚えてしまいます。特別な驚きとはいわないまでも、日常にちょっとした刺激を感じる程度のものから「転」を想定してみましょう。
例えば、「常識とされることを疑ってみる」「劣等感を刺激する」「未来の出来事を予想する」「今までできなかったことができるようになる」などです。最初にこういった目的を考えておくと、起承転結のメリハリがある小説になりやすいとされています。
小説で起承転結を考えるときのポイント
物語やエッセイでは、起承転結を当てはめると不自由に感じる場合があります。なぜならば、起承転結の要素は4種類に限定されており、しかも流れが固定されているからです。特に長編小説では、起承転結を忠実に再現するのは至難の業です。中編小説でも「承」が長すぎると飽きられてしまい、急展開の「転」が1回だけだとオチが見えてしまう恐れがあります。
そういった意味では、起・承・転・結を正しく表現する場合には、短い文章の構成が適しているといるでしょう。
形にこだわりすぎないことも大切
「起承転結の起承の差が未だに理解できない」「起承転結を押しつけるのは才能つぶしだと思っている」といったように、書き手にとって、起承転結の在り方が創作活動の妨げになっている場合があります。重要なのは、読者が読み終わった後に「面白かった」と言ってくれることです。
小説の構成には起承転結のほかに、序破急の三段構成、起承鋪叙結の五段構成が存在します。これらは読者に読ませるための手法であって、書き手からも読み手からも強要するべきことではありません。どこかできちんと起承転結になっているから、「この展開好きだな」と感じられます。
逆に起承転結の順番が違っていても、最終的に読みやすい、読んで良かったと思わせるほうが大切なのです。とはいえ、基礎をきちんと身に付けないと応用できません。独りよがりなストーリーでは読者は最後まで読んでくれないので、履き違えないようにしましょう。
起承転結の書き方を理解して、実際に物語を書いていくことが重要です。基本の文章構成をマスターすることで、一定以上の評価を得られます。もし起承転結のかたちを崩すのであれば、小説家として経験を積み、新たな試みとして応用に挑む程度に心掛けましょう。