絵本作りを検討している方の中には「絵本にも起承転結って必要なのか」といった疑問を持っている方もいるかもしれません。絵本の読み手は子どもですし、そこまで起承転結にこだわる必要はないのではないか…考えてしまいがちです。
そこで、ここでは絵本に起承転結は必要なのか、どのような本なら誰でも読みやすいのか、についてご紹介します。
絵本にも起承転結は必要?
絵本には起承転結が必要なのでしょうか。
結論からいうと、絵本にも起承転結は必要です。むしろ、絵本だからこそ起承転結が必要といえるでしょう。というのも、幼い子どもには複雑に絡みあったようなストーリーや、伏線を引いた内容はまだまだ理解できないものです。場合によっては、小学生でも「どういうこと?」と首をかしげてしまうケースも存在します。
起承転結をはっきりさせることで定番なストーリーになりがちですが、盛り上がる部分を引き立てる、絵本の世界観に入り込みやすくなる、読後感をすっきりさせるといった様々なメリットがあります。
絵本は「読みやすさ」が需要視されるものでもあるため、物語作りの基本である「起承転結」は、しっかりと取り入れることが大切です。
起承転結がはっきりしている絵本の例
起承転結がはっきりしている絵本を2点ご紹介します。基本的に人気作品は起承転結がはっきりしているため、絵本作りの参考になるでしょう。
「起承転結のイメージが湧かない…」という方は絵本の代表作を見てみましょう。
桃太郎
絵本の定番ともいえる「桃太郎」。じっくりと物語の流れを観察してみると、起承転結が非常にはっきりしています。
- 起
- 承
- 転
- 結
桃から桃太郎が誕生
村を困らせる鬼たちを退治するために仲間集め
鬼ヶ島へ向かって鬼を退治
宝を持って村へ帰還
このように、定番的な流れではありますが、一番の盛り上がりどころから締めへの流れで、読んでいる最中の興奮やすっきりした読後感を得られます。
子どもも「面白かった」と感じるシンプルなストーリーで、長く愛されているのです。
アナと雪の女王
映画で話題になったアナと雪の女王。絵本としても数多く販売されていて、映画同様に多くの子どもたちに愛されています。
- 起
- 承
- 転
- 結
主人公の姉は魔法が使えるが人々には秘密
姉が魔法を使えることを人々に知られてしまい、氷に覆われた国になる
姉妹の愛で国を元に戻す
平和な国で姉妹は仲良く過ごす
途中でトラブルが起きることで物語が引き立つケースの起承転結です。途中でハラハラさせる展開になるものの、平和な結末を迎えられます。こうした定番的なストーリーは子どもたちも理解しやすく読みやすいのです。
絵本作りでの起承転結の取り入れ方
絵本作りで起承転結を上手に取り入れるには、どうしたら良いのでしょうか。
まずは構成を考える
まずは、構成から考えていきます。
どのようなストーリーにするのか、どのような流れで進めていくのかなど、絵本の基本となる部分をじっくりと考えます。
起承転結のそれぞれの配分を決める
構成が決まったら、起承転結の配分のバランスを整えます。どの部分を長くするのか、そこまで長くする必要のない部分はどこなのかなど、ストーリー全体のバランスを見ながら微調整しましょう。
締めは読む年齢によって決める
上記2つが実践できれば、絵本はほとんど完成したも同然です。最後は、絵本の対象年齢に合わせて締めを考えることをおすすめします。例えば、ハッピーエンドで終わるのか、バッドエンドで終わるのか。幼い子ども向けであれば「平和なオチ」を、比較的年齢の高い子ども向けであれば「やや複雑なバッドエンド」を、といったように、対象の年齢に合わせて締めのストーリーを考えてみましょう。
絵本にとっても起承転結は重要な要素です。シンプルなストーリーであっても、起承転結によって大きく盛り上がるものです。せっかく作った絵本を長く愛読してもらうためにも、ぜひ「起承転結」を意識した絵本の構成を考えてみてくださいね。