一言で本といってもその装丁や内容によって呼ばれ方が異なります。よく耳にする単行本と文庫本は何がどう違うのでしょうか。
単行本とは
単行本という言葉はコミックスを指すときにも使われていますが、一般的には活字を中心とした書籍を指します。
「単」という文字通り単独で発行された書籍のことで、ジャンルやサイズは問われません。基本的にその1冊で完結していますが、ページ数が多い場合は上下巻または上中下巻の形式になる場合もあります。
一般的に単行本は装丁がしっかりしておりページ自体も上質紙のため、丈夫で長期間の保存にも向いています。
単行本のサイズは出版社によって異なりますが、A5サイズかB5サイズが多く見受けられます。
文庫本との違いとは
文庫本とは、単行本より小さいA6サイズほどの大きさで、単行本と比べると文字も小さく余白も少なくなります。
一般的に単行本が発行されてから1年から3年くらい後に、その内容を収録して文庫本が発行されます。単行本と文庫本の両方が同時に発行される場合もありますが、通常は単行本の人気次第で文庫本が発行されるか決まり、また発行されるならそれまでの期間も出版社によって決められます。
これは「文庫化」とも呼ばれ、単行本よりも後に発行されるため加筆修正や著者談といった付加価値も収録されることがあります。
単行本のハードカバーとソフトカバーの違い
単行本は「ハードカバー」と「ソフトカバー」という、表紙の装丁の違いで2種類のタイプに分けられます。
ハードカバーは本文のページ紙よりも少し大きく、厚紙や布張り、革製のものが用いられ丈夫に作られていますが、その分重さが増えています。近年では厚紙を上質紙で包んだ装丁に、さらに光沢のあるカバーもかけられていることが多くなっています。
ソフトカバーはペーパーブックとも呼ばれ、本文のページ紙と同じ大きさで柔らかい表紙が特徴です。ハードカバーよりも薄く軽いため料理本や家庭の医学書といった実用書などで使われ、持ち運ばれて読まれることが多い装丁です。
単行本・文庫本それぞれのメリット・デメリット
まず、単行本のメリットとして、新作が出てすぐに読むことができるということが挙げられます。内容や結末が書評で分かってしまうことを嫌う場合や、好きな作家の新作をより早く読みたい場合などは、単行本を予約して購入するでしょう。しかし、デメリットとして1冊あたりの価格が高く丈夫で保存に向いている分、重くて大きいために持ち運ぶには向かない点があります。
逆に文庫本のメリットとして、単行本よりも安価であり、小さいために持ち運びしやすいということが挙げられます。ただし、文庫化されるまでに年月がかかるため、出版されるまで待たなければならないデメリットがあります。
文庫本への疑問
書店に陳列されている文庫本を目にすると、ふと感じる疑問がいくつかあるでしょう。誰しも1度は考える、2つの疑問について考えてみましょう。
文庫本は冊数が増える傾向にある
単行本では1冊でも、文庫化されると上下巻の2冊になることがあります。
文庫本に読者が求めるメリットとして、手軽に持ち運びかつ安価であるという点があるため、上下巻に分かれていれば薄くて軽く手に取りやすいでしょう。また、とりあえず上巻を読んでみてから下巻も読むという読者も多くいるため、厚い1冊よりも手に取られやすくなるようです。
そのため、近年では文庫化されると冊数が増える傾向がよく見受けられます。
文庫本はなぜ単行本の後に発行されるのか
単行本は、想定の読者数から導き出された初版の本数と、それに応じた価格が出版時に検討されます。話題性が高い著者の文庫本でない限り、読書に慣れ親しんでいない人はなかなか単行本に手が伸びないでしょう。
文庫本は、より広い範囲の読者が安価で手に入れられるように発行されている面があるようです。
いかがでしたでしょうか。普段書店で何気なく眺めている単行本も、このように文庫本と比較してみると様々な違いがあっておもしろいですね。