ブログやライティングが身近になったことで、「本を出版してみたい」と考える人が増えてきています。そこで、自費出版でもらえる印税について気になる人も多いのではないでしょうか。印税についてざっくり説明すると、売上から出版社の経費を引いて余った金額をもらうことができ、実際にもらえる印税は10~50%程度のことが多いようです。そこで、今回は自費出版でもらえる印税について実際どれくらい儲かるのか、また印税のさらに詳しい仕組みについて解説していきます。
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自費出版でもらえる印税は売上の10%~50%
結論から言うと、自費出版でもらえる印税は「売上の10%~50%」です。出版社が全額負担をする「商業出版」は売上の4~10%なので、印税の割合でいうと自費出版のほうが多いです。
正確に言うと、自費出版でもらえるお金は「印税」とは言いません。印税とは「出版社が著作権使用料として著者に支払うお金」のことを指します。自費出版の場合は著者が出版費用を負担するため、「出版社が作品を使用する」わけではありません。そのため、印税(著作権使用料)という扱いではないのです。
自費出版でもらえる金額は、「売上還付金」もしくは「売上分配金」と呼ばれ、「本の売上から人件費や流通にかかる経費を引いたお金」のことを指しています。
支払われる割合が多いことから、自費出版で「儲ける=黒字化」がしやすいと考える人もいるでしょう。しかし、自費出版での黒字化は難しいのが現実です。出版社や部数にもよりますが、自費で出版するには安くて20万円~200万円ほど。黒字化にするには、最低でもこの金額を超える売上が必要となります。
そもそも商業出版の場合、有名な著者もしくはある程度のクオリティをクリアしている作品ばかりなので、販売しても売れる可能性が高いです。一方、自費出版の場合は著者が無名であることが多く、「ベストセラーに入って大量に売れる」ケースでなければ売上に期待するのは難しいでしょう。
自費出版にかかる費用
では、自費出版にはどのくらいの費用がかかるのか具体的に見ていきましょう。出版社によってはホームページ上である程度の見積もりができることもあるので、気になる人はチェックしてみてください。
原稿製作費
原稿製作費とは、原稿作成を出版社にサポートしてもらう場合に発生する費用のことです。自分で原稿を仕上げる場合や手書き原稿でなければ、費用は発生しません。ですが校正や校閲、内容に関するアドバイスをしてもらう場合は、別途「編集費」として費用がかかることもあります。
デザイン費
デザイン費とは、本の装丁やカバー、帯、本文デザインなどデザイン関連にかかるお金です。凝ったデザインやフォントやインクなどにこだわるほど、費用は高くなります。ほかにも本文中に入れる挿絵や写真、図解などを自分で用意しない場合も、金額がかかるのであらかじめ頭に入れておきましょう。
DTP費
DTPとは、パソコン上で原稿をデータ化して「本として印刷できる」状態にするためにかかる費用のことです。おおよそ1ページあたり300~1000円ほどがかかり、仮に100ページの書籍なら3万円~必要となります。
用紙・印刷費
使用する用紙や部数によっても大きく金額が異なります。たとえば絵本や写真集など、特殊な用紙を使用すると印刷費用も高くなります。また印刷部数が多くなるほど1冊あたりの金額は安くなると覚えておきましょう。
書店流通手数料
書店販売を希望するなら、販売業務委託料として書店流通手数料も必要になります。最低でも10万円かかり、一定期間売れなかった本は返本手数料がかかることもあるので注意が必要です。
自費出版で黒字に近づける方法
自費出版で黒字化するのは難しいとお伝えしましたが、出版するからにはできる限り黒字化させたいですよね。そこで、黒字化するためのポイントをいくつか紹介します。
本のタイトルを目を引くものにする
売れる本にするためには中身だけではなく、本のタイトルにもこだわりましょう。たとえば「自分の探していることが書かれているか」がひと目でわかるタイトルにすると、購入される可能性が高くなります。特に電子書籍化も検討しているなら、本のタイトルで「読むかどうか」を決めるほど重要なポイントです。
しかし、読者を引きつけるタイトルを考えるのは難しいので、担当の編集者に相談しながら決める方法がおすすめです。
制作費用をできるだけ抑える
自費出版は制作にかかる費用をすべて自分で負担することもあり、制作費用を抑えれば大きくコストをカットできます。たとえば以下のような項目が節約できる内容です。
- 編集費用
- 印刷・製本費用
- 流通費用
- 販促は自分で行う
最も大きな割合を占めるのは「印刷・製本費用」です。そのため「本のカバーをハードカバーからソフトカバーにする」「カラー印刷からモノクロ印刷にする」ことで費用を抑えることができるでしょう。ほかにも、編集やデザインの作業を自己完結してすぐに印刷できる原稿を用意できれば、編集やデザインの人件費を大きく削ることができます。また、流通や販促にもお金がかかります。そのため書店ではなく、電子書籍にしたり、自分のセミナーやホームページで販売したりするといった方法もおすすめです。
黒字化できなくても自費出版をするメリット
自費出版では売上還付金を狙うのは難しいとお伝えしましたが、自費出版には、出版に加えて余りあるメリットがあります。
- 本が名刺代わりになり、新規顧客や売上増加につながる
- 個人あてにセミナーやコンサルタントなど、別の分野の依頼がくる
- 商業出版デビューの話が来る可能性も
- 就職・転職活動が有利に進む
ビジネス面でいうと「本を出す」経験をしたことがある人は多くはありません。そのため、信用が上がり本業での仕事獲得、就職や転職活動での話題づくりで有利に進むなどの効果が見込めるでしょう。また、自費出版した本を見て、大手出版社から商業出版の声がかかって「作家デビュー」という可能性も充分あります。ほかにも家族や仲間に喜ばれたり、「本を出すという夢がかなう」という経験ができるのも、代えがたい満足感を得られると考えると、本を出版するのはお金以外のメリットが多いと言えるのではないでしょうか。
自費出版で印税についての注意点
最後に、自費出版で印税をもらうときの注意点について整理しておきましょう。
もらえる割合が高いだけで出版社を選ぶのは危険
売上還付金としてもらえる割合が高いというだけで、出版社や出版方法を選ぶのは危険です。もらえる割合が高ければ手元に入るお金は増えるため、「高い割合」を重視する人もいるのが事実です。しかし、売上還付金の割合が高くても本が売れなければ意味がありません。どんなにクオリティの高い本でも販促などのマーケティング力が低かったり、サポートが弱ければ満足のいく本にはならず、結果的に売れない本になってしまうことも。そのため、特にはじめての出版であれば「サポートの充実度」「販促の強さ」などを基準にして比較検討すると良いでしょう。
印税が実売部数を基準とする場合は慎重に検討しよう
自費出版では、実売部数を基準としているケースが少なくありません。もし実売部数を基準としているなら、期待をしすぎて自費出版の部数を多くするのは注意が必要です。なぜ危険かというと、実売部数が決定するまでに約半年ほどかかるため、印税を手にするのは少なくとも半年以降ということ。また、販売した時点ではどれくらい部数が売れるかは誰にもわかりません。そのため期待して部数を多くしてしまうと、あとから大赤字となるリスクがあるということです。
自費出版で印税は10~50%もらえるが、黒字は意外と難しい
今回は、自費出版で印税がどれくらいもらえるかについて解説しました。自費出版は10~50%と売上に対してもらえる割合は多いですが、ヒット作にしないと黒字化するのは難しいというのが正直なところでしょう。費用を自己負担することもあり、ベストセラーで重版するようなことになれば、もちろんしっかりと稼ぐことも可能です。そのため、売上割合の多いところに決めるのではなく、売る力のある出版社を選ぶことをおすすめします。
お金の面だけでなく、自費出版するメリットは多いです。ビジネス面では新たな顧客や案件獲得、また自分自身の信用度を上げるにも効果的な方法です。自費出版をするか悩んでいる人は、一度出版社に相談してみてはいかがでしょうか。