小説を執筆するにあたって「帰納法」を活用することは、物語をわかりやすくしたり、深みを出したりするためにも必要なテクニックです。しかし、その「帰納法」について詳しく知っている方は少なく、実際に活用しているケースは多くはないようです。
そこで、今回は小説における「帰納法」の活用方法についてご紹介します。小説を執筆する方はぜひ参考にしてみてください。
帰納法とは?
帰納法とは、一言でいうと「事実や事例をまとめて納得を与える結論につなげること」です。
例えば
「二日酔い予防にウコンが適していると友人が話していた」
「よくお酒を飲む同僚が、ウコンを飲んだら二日酔いにならなくなったと言っていた」
「健康関連の書籍で二日酔い予防にウコンが良いことを説明していた」
これらの事実や事例をまとめて結論を出すと
「二日酔い対策にウコンは適している」
ということになります。
こうして事実や事例をまとめることで納得のいく結論に至るため、小説を執筆する上でも重要なテクニックになるといえます。
演繹法との違いからみる帰納法
「帰納法」と同様に、「演繹法」の活用方法も、小説を執筆する際のポイントとして話題になります。
演繹法は普遍的な事実を前提にして、結論を導き出すというテクニックです。この演繹法と帰納法は似ているように見えますが、実は全く異なる部分も存在します。それぞれの違いについて見てみましょう。
結果を重視している
帰納法は、結果を重視しているのに対し、演繹法は前提となる事実や事例を重視し、結果はあまり重視していません。結論へ至るまでのスピードも帰納法の方が早く、小説のテンポを遅くしてしまう心配がありません。
統計情報を用いて例示して結論を出せる
帰納法は統計情報を例に出して結論を出すことができます。そのため、納得のできる結論に至ることが可能です。読者に疑問を残すことなく、ストーリーを進められます。
一方、仮説を立てて結論に至る演繹法では、仮説事態に誤りがある可能性もあり、その事実を証明するためにもストーリーを展開させなければならず、メインのストーリーから逸れてしまう可能性があります。
小説のストーリー作りに役立つ帰納法
帰納法は、小説執筆におけるテクニックの一つですが、ストーリー作りとしても役立てることが可能です。帰納法を活用したストーリー作りのコツについてご紹介します。
ストーリーに沿ってキャラを動かす
事例や事実の情報が必要な際には、そうした情報を作り出すためにキャラクターを動かします。読者が納得できるストーリーを作るために、事実や事例をまとめる役としてキャラクターを動かし、エンディングへとつなげていきましょう。
ストーリーの微調整に
小説を執筆していると、思わぬ方向にストーリーが逸れたり、他に必要なシーンが出てきたりします。そうした場合の「ストーリーの微調整」としても帰納法は活用できます。
事例に関するエピソードを増やしたり減らしたり、もしくは必要シーンに応じてキャラクターを動かしたりなど、ストーリーの方向性で困ったら帰納法を活用してみましょう。
ラストから逆算する
結果をもとに、事例や事実を考えます。
こうして、ラストから逆算することでどこに伏線を張るとより印象に残るか、どこで急展開するとより読者を引き付けられるかなど、ある程度イメージしやすくなります。
帰納法は、小説の執筆において様々なメリットが存在するテクニックです。一見難しそうなイメージがありますが、実際にはそんなことはなく、意外と簡単にストーリーをより良くできます。ぜひ、ストーリー作りで悩んだときや、印象に残るストーリーにしたいときは、帰納法を取り入れてみてはいかがでしょうか。