文章の書き方の1つに、「起承転結」があります。物語の構想を書くための基礎知識となる起承転結をおさえておけば、より読みやすい小説になるでしょう。
起承転結それぞれの役割
まず、起承転結とはどういったことを指すのでしょうか。それぞれのパートがもつ役割を大まかに確認してみましょう。
- 起:舞台の説明や主人公の登場といった導入部
- 承:起を受けてさらに発展させる、物語の中心部
- 転:結に向けて物語を収束させる転換点となる部分
- 結:物語を終幕させる結論部分
起承転結4つのバランスをどのように分配すれば読みやすくなるのか?
起承転結4つの要素の分配は諸説ありますが、一般的に2通りが広く知られています。
1つ目は、それぞれ1:1:1:1の同じ割合で4等分する方法です。
この割合は、長編ストーリーを大きな流れとして分配することに向いており、全体を4等分したあとに、その中でさらに起承転結を用いることもあります。ただし、長編を書く分量として用いると、それぞれを均等にするには無理が出てくるため、書きやすい分配ではないようです。
2つ目は、1:4:4:1で「起」「結」を少なくする方法です。
舞台や主人公の背景などを説明する「起」と、物語を締めくくる「結」を短くすることでメリハリがつくことと、物語に起伏が生まれ、読みやすくなるとされています。説明となる「起」が長くては、読者にとって読み進めるのが辛くなったり飽きられてしまったりするため、多くの場合、後者が用いられているようです。
どの順番で起承転結を作るか
起承転結を上手く用いるためには、それぞれをどの順番で考えていくかも大事です。一般的に物語を締めくくる「結」から考え、舞台の背景や主人公を登場させる「起」、それを「承」で引き継ぎ膨らませ、一番の盛り上がり部分となる「転」の順がスムーズであるとされています。
「結」で描かれる「何を伝えたいのか」「どういった結末を迎えたいのか」といったテーマが決まっていれば、書きながら迷うことがなくなるでしょう。
起・承・転・結・各パートとの関係性
起承転結で4分割される各パートにはそれぞれ役割があり、単独では決して成り立たず、関係性をもっています。
すべてと関わる「結」パート
最も重要であり、すべてのパートと関係があるのは、「結」パートです。
この結パートの着地点がしっかりしていれば、そこへどう向かうか、他パートでもイメージが容易になるでしょう。
結パートと正反対の「起」パート
結パートの結論が書き手の理想とすれば、正反対となるのが現状を表す起パートです。
例えば、主人公が無人島を脱出して自宅で落ち着くことが結論とすれば、起パートでは無人島での絶望的な現状を書きます。スポーツ選手が大会で優勝することが結論とすれば、起パートでは未熟である現状が書かれるでしょう。
起パートは、結パートと決して切り離せない関係性があり、読者の心をつかみとるような、第一印象を決めるパートでもあります。
起パートを受けて結パートへと向かう、「承」パート
起パートで描かれた現状を、結パートの理想へ向かう様子が「承」パートであり、物語の中心部分でもあります。
例えば、主人公が無人島を脱出するために必要な道具を、いくつもの困難を乗り越えてそろえていく様子が書かれるでしょう。大会で優勝を目指すスポーツ選手の物語であれば、何人もの強敵が現れては主人公が成長していく姿が書かれるでしょう。
承パートでは主人公をより輝かせることができ、物語の中心であるため、読者の評価もこのパート次第といった面があります。
承パートの集大成となる「転」パート
結パートへ向けて、物語の中で一番の盛り上がりを見せるのが「転」パートです。
例えば、承パートで集めた道具を組み立ててイカダを作り、ついに主人公が脱出するのは「転」パートになります。強敵との対戦を経て力をつけた主人公がライバルと決勝戦を争うのも、一番の見せ場になります。
承パートで培われた背景が転パートの説得力を増させるため、転パートは承パート無くしては成立しません。
起承転結の考え方の良し悪しは人により意見が異なりますが、良い小説にしたいという思いは異なりません。小説を書く際の1つのコツとして考え、型にはまりすぎないよう、上手に活用できると良いでしょう。