物語をつくるときに重要な、起承転結。起・承・転・結、それぞれの意味をきちんと把握していますか?こちらでは起承転結の意味を一からみていき、書き方のポイントまでお伝えします。
起承転結の意味
物語の文章構成である起承転結は、元々「漢詩の絶句」が由来です。絶句というのは、以下の「起句」「承句」「転句」「結句」を指します。
・第一句(起句)で、うたい起こし、
・第二句(承句)で、これを受けて発展させ、
・第三句(転句)で、場面や視点を転じ、
・第四句(結句)で、これらを受けつつ全体を締めくくる。
わかりやすくいうと、「起」は設定の説明、「承」は物語の始まり、「転」では事件の解決や急展開、「結」で物語の終わりとなります。
「起」
- ストーリーの舞台や状況の説明
- 主人公、登場人物の紹介
- 物語の展開イメージ
「承」
- 「起」で述べた内容の発展
- 「転」への伏線設定
- 「転」で起きる事態の理由付け
「転」
- 盛り上がりどころ
- 注目させるための変化
「結」
- 変化が起こったあとの締めくくり
起承転結の例
こちらではよりイメージしやすいように、物語ごとの起承転結の例をみていきます。
桃太郎
- 起→桃太郎が生まれる
- 承→鬼退治をする理由
- 転→イヌ、サル、キジに出会い、鬼を退治しに行く
- 結→お宝を持って無事に帰ってくる
ファンタジーの世界
- 起→剣士や魔法使いがいる世界
- 承→魔王が誕生してしまう
- 転→主人公は、実は伝説の勇者であった
- 結→魔王を倒し、平和が訪れた
ラブストーリー
- 起→とある高校の、とある女の子の物語
- 承→主人公には好きな人がいるが、なかなか声がかけられない
- 転→文化祭をきっかけに勇気を出して声をかけたら、実は両想いであった
- 結→カップルとして結ばれて、10年の交際を経て結婚する
私たちが読み慣れている文章構成といった意味でも、起承転結が必要です。「起」や「結」で分かりやすく、「承」と「転」で意外性を持たせて書いてみるとよいでしょう。
それぞれの役割をイメージしよう
文章構成の割り振りは自由ですが、起10%、承40%、転40%、結10%が妥当なところです。もし大衆文学であれば、起のパートを長めにとって日常的なシーンを強調するといった手法があります。
ここではそういったコツを身に付けるためにも、起承転結の役割をさらに詳しくご説明します。
「起」のイメージ
「起」は物語の導入部分であり、世界観や場所、登場人物、目的などをわかりやすく読者に伝えます。しっかりと読者を惹きこむことができれば、感情移入しやすい作品と評価されるでしょう。
そのためには、最初に結末を考えておいたほうがよいです。物語というのは、最初から最後までつながっています。逆算して書いたほうが、ストーリーとして納得しやすいものになります。
「承」のイメージ
「承」は物語の展開部分であり、読み終わったあとに「どんな話であったのか?」を思い返すと当てはまるパートです。大切なのは、ジェットコースターのように展開に緩急をつけることです。
登場人物の葛藤や対立を描いたり、主人公の目的を明確にしたり、メリハリが求められます。時には伏線のために、何気ない会話を入れる必要があります。
「転」のイメージ
「転」は転化を指しており、展開を転ばせること。これまでの話を踏まえて、結末に向けて駆け抜けるイメージです。転で起こる意外な事態は、承があったからこそ成り立つものにしましょう。
「結」のイメージ
「結」のイメージは結末であり、「物語のテーマの答え」でもあります。「なぜ戦わなければいけないのか?」というテーマがあるとしたら、結の段階で提示しましょう。
すっきりと終わらせたい場合は答えを結に書き、読者の考え方に委ねるのであれば曖昧な書き方で終わらせましょう。ただし、答えを登場人物に長ったらしく喋らせるのは好ましくありません。もたもたしていると、「結局何が言いたいの?」となってしまいます。結をできるだけシンプルに締められると、読みやすい物語となります。
起承転結のそれぞれの意味を理解していても、書き方まで配慮していないと読書に読み飛ばされてしまいます。どのぐらいの配分で、どんな見せ方をすればよいのか今一度考えてみましょう。上手な起承転結になれば、読んでいて心地良いため息が出るはずです。