自費出版(自主出版)

自費出版でヒット作となった有名な作品を厳選してみた

自費出版のヒット作

昨今は、一般の人でも自費出版という形で本を出版できるようになりました。しかし、自費出版でヒット作を生み出すとなるとかなり難しいというのが実際のところです。そのため、自費出版ではクオリティの高い本は出版できないと思っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、中には自費出版でヒット作となった作品が存在します。誰もが知る名作もじつは自費出版がスタートとなっているものも少なくありません。
そこで、今回は自費出版でヒット作となった有名な作品を紹介していきます。

自費出版で有名になった代表的な作品を紹介

自費出版は自分で費用を負担することもあり、期待されていないのではと考える人も多いでしょう。しかし、実際には自費出版でもヒットして多くの人に愛されている作品が数多く存在します。有名な作品をまとめてみました。

タイトル 作者 出版年
こゝろ 夏目漱石 1914年
細雪 谷崎潤一郎 1936年
宮尾登美子 1972年
佐賀のがばいばあちゃん 島田洋七 1987年
Deep Love Yoshi 2000年
リアル鬼ごっこ 山田悠介 2001年
氷の華 天野節子 2006年
B型自分の説明書 Jamais Jamais 2008年
それからの三国志 内田重久 2011年

一度は本屋で目にしたことのある作品が多く、驚く人もいるでしょう。代表的な作品の特徴を具体的に紹介します。

こゝろ(夏目漱石)

知らない人のほうが少ない文豪「夏目漱石」の代表作である『こゝろ』は、自費出版として出版されたのが始まりです。

当時『こゝろ』は朝日新聞で連載しており、すでに漱石はベストセラー作家として活躍していました。しかし、今の岩波書店の最初の出版物として書籍化の声がかかり、費用や装丁も漱石が負担することで出版されたのです。

岩波書店は小さな古書店だったこともあり、ベストセラー作家の漱石が受け付けること自体が異例にもかかわらず、費用や手間も自分で行ったのも奇跡と言えるでしょう。

岩波書店は『こゝろ』を出版することで、大手出版社としても名前が知られるきっかけにもなる作品でした。

細雪(谷崎潤一郎)

名作『細雪』は、昭和19年に自費出版されたことが始まりです。

『細雪』は戦争の足音が迫る1936年から1941年の大阪を舞台に、船場で暮らす裕福な四姉妹の物語を描いています。中央公論で連載されていた当時の日本は戦争中であり、「欲しがりません。勝つまでは」というスローガンが掲げられていました。そのため、四姉妹の優雅な日常を描く『細雪』は「内容が戦時にそぐわない」と警察から干渉を受け連載禁止に追いやられてしまいました。

しかし、掲載禁止にもかかわらず、谷崎は執筆を続け昭和19年に限定200部で自費出版を果たします。この200部は多くの人に回し読みされ、評判を呼び、戦後言論弾圧がなくなったことを受けて、『細雪』は商業出版されることとなりました。

商業出版されると、『細雪』は瞬く間に大ベストセラーとなり、毎日出版文化賞、毎日芸術賞、朝日文化賞などの名だたる賞を総なめにしました。さらに、1958年にはノーベル文学賞の候補にもなり、その評価は国際的に高まりました。

櫂(宮尾登美子)

宮尾登美子は、現在では女流作家として知られていますが、彼女にも作家としての苦難の時代がありました。

宮尾登美子は23歳ごろから小説を書き始め、35歳の時に『連』で婦人公論女流新人賞を受賞、『一絃の琴』で直木賞を受賞するなど華々しいデビューを果たしました。しかしその後の10年間は、ヒット作を生み出すことができず作品が出版社から突き返されることも少なくありませんでした。

そんななか、1972年46歳のときに自費出版で『櫂』を発表。初版500部という限られた部数でのスタートでしたが、『櫂』は繊細な女性の心の機微を描いた作品で多くの女性から共感を得ました。この作品は瞬く間に大ヒットし、宮尾の作家人生を大きく変える転機となりました。

『櫂』の成功後、宮尾は多くの出版社から作品を出版する機会を得るようになり、彼女の代表作の一つ「舐めたらあかんぜよ」の名セリフで有名な『鬼龍院花子の生涯』をはじめ、多くの作品を世に送り出しました。自費出版をしたことにより、宮尾登美子は再び脚光を浴び人気作家としての地位を確立しました。

佐賀のがばいばあちゃん(島田洋七)

漫才師として人気の島田洋七が、佐賀で過ごした少年時代の祖母との思い出を書いた自伝『佐賀のがばいばあちゃん』も自費出版で出された本です。

ビートたけしが洋七の祖母の逸話を耳にし、自伝を書くことを強く勧めたことがきっかけで1987年に3000部限定で自費出版されました。

超のつく貧乏な家庭でありながら、奇想天外なアイデアで楽しく日々を過ごす洋七と祖母の温かい生活や周囲の優しい人々の姿が多くの人の心を打ち、たちまち大評判となりました。2004年に徳間書店で再出版されてから一気に話題となり、売り上げ冊数は自伝としては異例の総計400万部を超えました。

Deep Love(Yoshi)

『Deep Love』は、高校生の少女が薬物や不治の病といった悲惨な出来事を乗り越えたあと、真実の愛を知る物語です。当初は個人のWebサイトで掲載されていましたが、女子高生を中心に話題となり2000年に自費出版されています。自費出版でも10万部の売上を出したあと、2002年にスターツ出版から商業出版化され、最終的にはシリーズ累計で270万部を超える大ヒット作品となりました。

人気を集める一方で、文芸評論家からは内容がないと批判もされました。しかし、当時の10代には大きな影響を与え、影響を受けた小説作品も多く出版されるなど、ネット小説がヒットするきっかけにもなった作品です。

リアル鬼ごっこ(山田悠介)

若者を中心に人気のホラー小説家、山田悠介は自費出版をしたことで有名です。『リアル鬼ごっこ』は累計発行部数200万部、当時引きこもりだった作者が「何かクリエイティブなことをしたい」と書き始めたのがきっかけです。しかし、最初に出版社に持ち込んだ原稿は、文章も拙く日本語が間違っていることが多いなど、決してきれいな原稿ではなかったようです。それでも内容の面白さで話題となり、ベストセラーをつかみました。

氷の華(天野節子)

天野節子著の『氷の華』は2006年に自費出版されたあとの反響が大きく、2007年には商業出版に至った成功例です。売れるスピードが驚異的でたった2ヵ月で第6版まで出版されました。そのあとも米倉涼子主演でテレビドラマ化され、一世を風靡しました。天野節子は60歳で初めて出版を果たしたというのも自費出版に可能性が見出せるポイントです。当初の自費出版予定の出版社が倒産するというトラブルにも直面しましたが、勢いそのままに幻冬舎ルネッサンスから出版するに至りました。

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B型自分の説明書(Jamais Jamais)

2008年ごろに血液型ごとの性格を説明した本が大流行しました。真っ黒な表紙に『B型自分の説明書』と白抜きの文字で書かれた本の見た目も評判を呼び、シリーズ累計620万部を売り上げる異例のヒット作となりました。

続編シリーズまで出版されるほど人気のこの本の成功の背景には、2006年ごろに著者のJamais Jamais氏が自費出版会社に原稿を持ち込んだことから始まります。現在もこの本の流行が「ブラハラ」という言葉が生まれるほど社会に浸透し、血液型占いの認知度を大きく高めたといっても過言ではありません。

それからの三国志(内田重久)

『それからの三国志』は歴史小説で、蜀の軍師諸葛孔明の死後の約100年を描いた作品です。著者が自ら出版社に持ち込み、初版は800部からスタートしましたが、そのあと単行本と上下2巻の文庫を合わせて累計17万部の大ヒットとなりました。著者は75歳の時にこのタイトルを出版したのみで、現在は小説の執筆をしていないようです。

自費出版でヒット作を生み出せる可能性は大いにあり!

今回は自費出版でヒット作となった有名作品を紹介しました。

自費出版された作品のなかには『こゝろ』『細雪』といった名作はもちろん、『リアル鬼ごっこ』『氷の華』などメディア化されて知っている人も多い作品もあります。

自費出版することで必ず上手くいくわけではありません。しかし、出版してみなければ成功するかどうかはわからないのも事実です。

もし本を出版してみたいと考えているのであれば、一歩踏み出して自費出版に挑戦してみてはいかがでしょうか。

自費出版で失敗したくないなぁ・・・

自費出版は出版社の選定で結果が大きく左右されます。自費出版を扱っている企業が多々ありますが、実績の多い出版社に依頼する方が、間違いのない自費出版になることでしょう。

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