自費出版(自主出版)

副業が禁止されている公務員が自費出版することは可能?

公務員が副業として自費出版は可能?

副業が禁止されている公務員でも、自分の本を出版したいと考える人もいるでしょう。最近では自分で費用を負担する「自費出版」という方法もあり、以前より気軽に一般人が本を出版することができるようになりました。

公務員でも作家活動をしている事例もあり、公務員をしながらプロ作家になった人もいます。しかし、注意が必要なのは、公務員の場合、「執筆活動には兼業許可を申請する必要」があるということです。

過去に執筆活動によって利益を得た公務員が懲戒処分を受けた例もあり、公務員を続けながら作家として活動を考えている人は「許可申請」をしておくことが重要です。

そこで、今回は副業禁止の公務員が自費出版するときの注意点や、実際に公務員をしながら作家活動をした事例を紹介します。

副業禁止の公務員が自費出版をするのは問題ないが、申請が必要

最初に結論からお伝えすると、副業が禁止されている公務員でも自費出版をすることは問題ありません。実際に、公務員でも作家活動している事例はいくつかあります。

しかし、公務員が執筆業をするときには、他の会社員と比べて法律的に制約があるのも事実です。

公務員の副業規制を分かりやすくまとめると、以下の通りです。

  • 役員兼業の制限:許可なく「営利企業の役員」になってはいけない
  • 自営兼業の制限:許可なく「自ら事業を営む」のは禁止
  • 他の事業又は事務の関与制限:報酬を得ることはできるが「兼業」にあたるなら許可が必要

作家活動は営利目的というよりは「表現」や「趣味」の範囲とされることが多いですが、「許可なく」収入を得ることができないと考えておくと安心でしょう。

過去には、無許可で印税収入を得たことで処分された事例もあります。

「病気で休暇・休職中に無許可で小説を書き、印税を得ていたとして、神奈川県平塚市は20日、男性主事(28)を停職6カ月の懲戒処分とし、発表した。男性は同日、依願退職した。(引用元:https://www.asahi.com/articles/ASPBN75R1PBNULOB032.html)」

執筆活動が兼業にあたるかどうかは事例により異なり、必ず懲戒処分になるわけではありません。しかし、「長期間に渡る継続した活動」「著作権にあたる」「信用の失墜」といった執筆活動を行っている場合は、許可が必要となります。

不安に思う人は自費出版で本を出すなら、許可を申請しておくことをおすすめします。

公務員が自費出版するときに注意しなければならないこと

副業が禁止されている公務員でも、自費出版をすること自体は完全にNGではありません。ここでは、注意点や許可が必要となる理由を解説します。

自費出版を定期的又は継続的に従事するケース

人事院のガイドラインにて「報酬を得る兼業にあたる」場合、以下の2つを満たす場合には許可が必要となります。

  1. 労働の対価としての「報酬を得る」
  2. 「定期的又は継続的に従事する」

自費出版で本を売ることで報酬を得るなら、①に該当。そして定期的、継続的に出版することになるなら②も当てはまるというわけです。自費出版をするには費用がかかるので、頻繁に出版することは少ないかもしれません。

しかし、本を出版する人は「雑誌の連載を担当している」「Webライターとして活動して副業収入を得ている」ということも多いので注意が必要です。雑誌の連載やWebライターでは、執筆ごとに「継続して」報酬を得る方法なので兼業にあたり許可が必要となります。

守秘義務違反

公務員は業務で得た情報については、口外してはいけないというルールがあります。仮に退職をしても違反した場合は公務員法違反となる点は注意が必要です。

信用失墜する行為

本の内容が公務員の信用を失くすような内容の場合も、違反になるので気を付けましょう。具体的には、「犯罪を想起させるもの」「暴力的な表現」などがあたります。もしどうしても書きたい内容がこのような内容に当てはまる場合は、公務員を辞めるしか方法がありません。

公務員が兼業の許可を得るときの基準

公務員が兼業の許可を得るときには、クリアする基準があります。

兼業の許可がおりるケース 兼業の許可がおりないケース
  • 兼業時間:週8時間又は1ヶ月で30時間を超えない、1日3時間を超えない
  • 兼業先:行政機関はOK、公益・福祉・医療法人は活動実績の確認が必要、非営利団体は活動実績の確認を厳格化
  • 報酬:社会通念上相当と認められる金額
  • 兼業によって公務員の本業の遂行に支障または能率に悪影響が出る場合
  • 兼業する職員の職場と兼業先に利害関係がある場合
  • 兼業する事業の経営上の責任者になる場合
  • 兼業することが公務員としての信用を傷つけるもしくは官職全体の不名誉となる可能性がある場合

本業である公務員の仕事をフルタイムで働いているようであれば、基本的に兼業時間・報酬を超えることは少ないでしょう。そのため自費出版で大きく稼ぐことがなければ、基本的には許可が出ることが多いようです。

公務員で作家活動を行った事例を紹介

実際に公務員として働きながら、副業で作家活動をし、実績を作っている方の事例を紹介します。

所属 作品名 受賞
東京都区役所職員 ブラックボックス 芥川賞
宇都宮市職員 道元禅師 泉鏡花文学賞
福岡市職員 となり町戦争 小説すばる新人賞
八王子市職員 女たちのジハード 直木賞
長崎市職員 聖水 芥川賞

公務員として働きながらプロ作家になった人もいるほどなので、どちらも兼業して成功することは可能です。簡単なことではありませんが、公務員を辞めずに作家になりたいと考えている人は参考にしてみてはいかがでしょうか。

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公務員が自費出版以外で許される副業の例

公務員で副業を考えている人も増えている中で、申請や許可が必要な副業と不要な副業が気になる人も多いのではないでしょうか。そこで、執筆活動以外で公務員が許される副業について最後に少し紹介しておきます。

申請・許可がいらない副業 申請・許可が必要な副業
  • 不動産投資
  • 株式投資
  • 家業の手伝い
  • 小規模の農業
  • 講師、講演活動
  • 執筆活動
  • 規模の大きい副業

基本的に「利益を稼ぐ目的かどうか」が大きな判断基準となります。不動産投資や株式投資は「投資」という扱いになるため、基本的には副業扱いとはなりません。ただし申請や許可がいらない副業でも、金額や規模によっては許可が必要となるので注意が必要です。

また、講師や講演活動、執筆活動は利益が発生することが多く、申請や許可が必要となることが多いです。実際には事例によって異なるものの、「あとから申請しておけばよかった」と後悔しないためにも事前に対応しておくことをおすすめします。

公務員が副業で自費出版は可能だが申請しておくと安心

公務員が副業で自費出版することは法律的には問題なく行えますが、副業申請をしておくと安心と言えそうです。過去には無許可で自費出版が成功したことで、多額の報酬を得た人が懲戒処分になった例もあります。その人の条件や本の内容にもよるので、一概に必ず許可が必要というわけではありませんが、公務員を続けながら作家活動をしたいのであれば、許可を申請しておくと安心して執筆活動ができるでしょう。

公務員を続けながらプロ作家になった人の事例もあるので、何歳でも作家になるチャンスはあります。小説家になるという夢がある公務員の人は、「兼業作家」を目指してみてはいかがでしょうか。

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