自費出版は誰でも本を出せる自由な手段である一方で、悪質な業者に引っかかってしまうケースも報告されています。特に、詐欺まがいの契約や不透明な料金設定、約束した流通が実現しないなどの被害は、初めて出版を考えている人ほど注意が必要です。
本記事では、自費出版における代表的な詐欺の手口と、著者が安心して出版に挑戦するための防衛策をわかりやすく解説します。
自費出版詐欺とは?よくある手口も解説
自費出版詐欺とは、著者が出版を希望して契約する際に、業者が不当な金額を請求したり、実際には提供されないサービスを謳って契約させるなど、著者に一方的な不利益をもたらす行為を指します。出版を夢見る人の心理につけ込み、本を出せるという希望を利用するのが典型的な手口です。
実際、どのような手法で自費出版詐欺が行われていくか、具体的な手口を見て行きましょう。
「賞に選ばれました」と告げてから高額契約に誘導する
自費出版詐欺の典型例が、文学賞や新人賞の受賞を装う手口です。「あなたの作品が審査を通過しました。ただし出版には○○万円かかります」というパターンで、受賞の喜びを利用して高額契約を迫ります。実際には誰でも応募すれば選ばれる賞であることも多く、冷静に調べれば権威性がない場合がほとんどです。
不透明な見積もりで後から追加請求する
契約時に「出版費用は100万円」と説明しながら、契約後に「校正費用が別途必要」「流通のために追加で費用がかかる」といった形で費用が膨れ上がるケースがあります。最終的に当初の見積もりより倍近い金額を請求されることもあります。ただし、当初予定していた金額からオプション費用などがオンされていくことは珍しいことではなく、詐欺にも当たらないので、どのような料金体系になっているかは事前に契約書などをしっかり確認するようにしましょう。
実際には流通しない「全国書店販売」を謳う
「全国の主要書店に並びます」と説明しながら、実際には注文販売扱いで店頭に並ばないケースです。書店にカタログ情報が登録されるだけで、実際の店頭展開や販促活動は行われないのに、全国流通と誇張する自費出版社も存在するようなので注意が必要です。
著者の夢を過度に煽る営業トーク
「必ず売れます」「ベストセラー作家になれる」といった言葉で契約を迫る業者もあります。出版に絶対の成功は存在しません。著者の承認欲求や夢を利用して契約させるのは典型的な詐欺的手口です。事実と営業トークを聞き分けるようにしましょう。
以上、4つの注意点について解説してきました。自費出版は契約書が非常に重要なので、契約書の内容をしっかり確認することが大切です。
詐欺に騙されやすい人の傾向と防衛策
ここからは、騙されやすい人の傾向と、騙されないための防衛策について解説していきます。まず最初に、騙されやすい人の傾向を簡潔にまとめました。
- 出版の知識がなく、提示された内容をそのまま信じてしまう
- 「有名になりたい」「ベストセラーになりたい」という気持ちが強すぎる
- 契約書をよく読まずに署名してしまう
- 契約時に冷静に比較検討せず、その場の勢いで決めてしまう
出版の世界に慣れていない人ほど狙われやすいのが特徴です。では、騙されないためにどのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
1. 複数社を比較する
一社の説明だけを聞いて決めるのは危険です。最低でも2〜3社に問い合わせ、費用の内訳やサポート内容を比較しましょう。不透明な見積もりや、今日中に決めれば割引しますといった急かしは要注意です。
2. 契約書や特約を細かく確認する
「流通」「販売促進」の文言が、実際にはどのレベルで実施されるのかを必ず確認しましょう。曖昧な表現や口約束は危険です。納得できない箇所はサインせず、必ず質問するようにしましょう。
3. 評判や実績を事前に調べる
インターネットで社名を検索し、「口コミ」「評判」「トラブル」といったキーワードを調べましょう。過去の被害報告や悪評が見つかることもあります。実績が豊富で透明性のある出版社を選ぶことが防衛につながります。
4. 売れる保証を鵜呑みにしない
出版に絶対はありません。誠実な出版社は売れると断言しません。「努力すれば可能性が広がる」、「著者の協力が必要」といった現実的な説明をしてくれる会社を選びましょう。
以上、4つのポイントについて解説してきました。これらのポイントを頭に片隅において説明を聞くようにしましょう。
信頼できる自費出版社を選ぶポイント
自費出版は著者が費用を負担する以上、パートナー選びが最も重要な要素になります。出版社ごとにサービス内容や姿勢は大きく異なり、その違いが作品の完成度や読者への届き方に直結します。だからこそ、「料金が安いから」「営業担当が熱心だから」といった表面的な理由だけで判断するのは危険です。長期的に満足できる出版を実現するには、以下のような観点をしっかり確認しておく必要があります。
まず重視すべきは、編集・校正体制の充実度です。自費出版では、著者の原稿をそのまま印刷するだけの会社もあれば、商業出版に近い形でプロの編集者が文章構成を見直してくれる会社もあります。後者を選べば、著者の想いを尊重しつつも、読者にとって読みやすい形に仕上げてもらえるため、本の完成度が大きく高まります。
次に、デザインや装丁の自由度と質も確認すべきポイントです。本の第一印象は表紙で決まるといっても過言ではありません。魅力的で市場に映えるデザインを提案してくれるかどうか、実績として過去に制作した書籍の表紙やレイアウトを見せてもらうことが大切です。
さらに、販売や流通の仕組みも出版社によって差があります。Amazonや全国書店で注文可能になるのか、あるいは地域の一部書店やオンラインのみでの販売なのか。契約前に全国流通という言葉の中身がどの程度を指しているのかを具体的に確認しましょう。
また、費用の内訳と契約の透明性も欠かせません。初期見積もりが安くても、校正費用や販促費用が後から追加されて高額になるケースもあります。明細が明確で、納得できる形で提示してくれる会社を選ぶべきです。
特に、幻冬舎ルネッサンスのように商業出版のノウハウを活かした自費出版サービスを提供している会社は安心感があります。経験豊富な編集者による指導や、書店流通ネットワークを活用した販促など、著者一人ではできない部分をしっかり補ってくれるのが強みです。単なる印刷代行業者ではなく、著者の目的に合わせて伴走してくれるパートナーという目線で選ぶことが、後悔しない自費出版の近道と言えるでしょう。
まとめ
自費出版は、著者が自由に作品を形にできる一方で、悪質業者に狙われやすい分野でもあります。出版を夢見る人ほど、営業トークに乗せられて冷静さを失いがちです。大切なのは、本当にそのサービスが必要か、費用に見合っているかを見極めることです。詐欺を回避するための知識を蓄え、自分なりに準備を整えてから商談に臨みましょう。