正式名称は「直木三十五賞」といい、文藝春秋の創始者・菊池寛が友人の直木の名を記念して制定した直木賞。非常に有名な賞ですが、その賞金は一体いくらなのでしょうか。また、最近の受賞作のその後についても、詳しくご紹介していきます。
直木賞の賞金は100万円
直木賞には正賞と副賞の2つの賞があり、正賞は懐中時計、副賞は100万円となっています。授賞は上半期・下半期の年2回で、それぞれ選考や賞の内容に違いはありません。
なお、直木賞は公募の賞ではなく、上半期は前年12月から5月までに刊行された書籍、下半期は6月から11月までに刊行された書籍が対象となり、その中から選考されます。
選考委員は、浅田次郎・伊集院静・北方謙三・桐野夏生・髙村薫・林真理子・東野圭吾・宮城谷昌光・宮部みゆきという大御所作家が務めています。
芥川賞と賞金は同じ
また、よく比較される芥川賞も、正賞が懐中時計、副賞が100万円と全く同じです。
授賞時期も同一ですが、直木賞は「新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)」が選考対象になるのに対し、芥川賞は「雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品」が対象となります。
また、選考委員も小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・髙樹のぶ子・堀江敏幸・宮本輝・村上龍・山田詠美・吉田修一と、全く異なる大御所小説家が務めています。
直木賞受賞後は「オール讀物」に掲載
選評とともにオール讀物に掲載
直木賞を受賞すると、受賞作の一部が「オール讀物」に掲載されます(いずれも上半期は9月号、下半期は3月号)。また、受賞発表号には選考委員による選評も掲載されるため、小説ファンの間では年2回の恒例の楽しみとなっています。
オール讀物とは
オール讀物とは、文藝春秋が出版している月刊小説誌です。内容はエンターテインメント系の小説が中心で、一番多い読者層である中高年に好まれる作風のものが多くなっています。定価は980円(税込)で、全国の書店や通販でも取り扱いがあります。
最近の受賞作とその後
そんな直木賞ですが、世間にはどのように受け入れられているのでしょうか。
最近の受賞作の中で、話題になった作品・映画化・ドラマ化された作品などをご紹介していきます。
最近の受賞作
- 第158回(2017年下半期)門井慶喜 銀河鉄道の父』 講談社
- 第157回(2017年上半期)佐藤正午 『月の満ち欠け』 岩波書店
- 第156回(2016年下半期)恩田陸 『蜜蜂と遠雷』 幻冬舎
- 第155回(2016年上半期)荻原浩 『海の見える理髪店』 集英社
- 第154回(2015年下半期)青山文平 『つまをめとらば』 文藝春秋
- 第153回(2015年上半期)東山彰良 『流』 講談社
話題になった受賞作
- 147回(2012年上半期) 辻村深月 『鍵のない夢を見る』(ドラマ)
WOWOWにてオムニバスドラマとして放映。 - 第145回(2011年上半期) 池井戸潤 『下町ロケット』(ドラマ)
WOWOWにてテレビドラマ化。2012年にはラジオドラマ化、2015年にはTBSでテレビドラマ化された。 - 第138回(2007年下半期) 桜庭一樹 『私の男』(映画)
2014年に映画化。モスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀作品賞などを受賞した。 - 第123回(2000年上半期) 金城一紀 『GO』(映画)
2001年に映画化、第74回アカデミー外国語映画賞に日本代表作品としてエントリーされたことをはじめ、数々の映画賞を受賞。
また、第158回の選考では、人気バンド「SEKAI NO OWARI」のSaori(藤崎彩織)が執筆した『ふたご』(文藝春秋刊)がノミネートされ、話題となりました。
なんとなくニュースで耳にしていた直木賞も、由来や受賞後の動向を知るとぐっと身近に感じられますよね。この機会に、オール讀物の選評も含めて直木賞を味わってみてはいかがでしょうか。